遠藤薫研究室 
Kaoru Endo's Lab

遠藤薫

現職
学習院大学名誉教授
専門分野
理論社会学 / 社会情報学 / 社会シミュレーション
研究テーマ
社会変動論 / 社会システム論 / 情報基礎論 / メディア論 / グローバリゼーション / 文化変容

2022年民放連賞の審査委員を務めさせていただきました

2022年民放連賞(テレビ教養番組)の審査委員長を務めさせていただきました。

【講評の一部】
今回、最優秀候補としてノミネートされた作品はいずれも、弱い立場の人たちに寄り添い、支えることを主題とするものだった。どの作品も丹念な取材としっかりした構成による鋭い問題提起が心を打つ素晴らしい作品で、審査では順位付けに非常に苦慮した。

最優秀=山形放送/三つめの庄内~余計者たちの夢の国~(=写真) タイトルが秀逸である。戦前、農家では後継ぎ以外の子どもたちは「余計者」だった。彼らを養う力が農村になかったからだ。戦争によって満州国が建国されると、庄内の「余計者」たちは開拓団としてその地に夢を託した。しかし、敗戦とともに彼らは再び居場所を失い、家族や仲間たちの死を背負って帰国する。戦後の食糧難に対処するための「緊急開拓政策」が、彼らを新たな「三つめの庄内」へと向かわせる。そこに待っていた過酷な現実、酪農への転換などを経つつも、開拓コミュニティの結束は固く、ようやく「夢の国」に到達したかに見える。しかし、新たな開発計画やTPPなど、将来には不安もある。翻弄される時代を生き抜くコミュニティの悲しみと強さは、ウクライナの悲劇とも重なる。
(遠藤薫)

2022年民放連賞審査講評(テレビ教養番組) 「誰も取り残さない社会」をまなざす真摯な作品群 | 民放online